生活者中心デザイン:人間工学+デザインで人間生活の課題を解決する
「人間工学」は,生活者とモノ・コト・環境の調和を考え,人間の幸福とシステム全体のパフォーマンスの最適化を図る学問です.身体,認知,組織などに関連する様々な領域を取り扱い,その成果を作業・機器・設備・環境・組織・サービスなどのデザインに応用することを目指します.また「デザイン」は,意匠の造形を取り扱うものという狭い意味もありますが,広義には現代社会における様々な課題の本質を捉え,モノ・コトの創造を通して人々の生活に本質的な価値を提供することです.つまり,意匠の造形だけでなく,デザイン対象の本質を捉え,使用価値や経験価値を高めて可視化することがデザインの重要な役割であると言えます.人間工学は成果をデザインに応用し,デザインはそれをまとめて可視化するものであり,表裏一体の関係にあります.生活者視点のデザインを行うためには,この双方の観点が必要になります.この双方の観点を掛け合わせ,ユーザの不安や問題を取り除き,使いやすく,安心・安全で快適な生活機器・空間を創出し,人々の生活の質を向上させることを目指します.

本研究室の特徴
(1) ヒトとモノ・コトの関係性に関するテーマなら何でも取り扱います
ユーザの日常生活に関わる生活機器・空間・サービスを中心に研究対象に特段の制限は設けずに取り組むことが多いです.研究プロジェクトや指導学生の興味に応じて幅広く対応します.これまで扱った研究対象の例としては,家電製品・日用品,GUI(Webサイト含む),自動車(車内のHMI,自動運転車含む),ノートPC,操作マニュアル,コインパーキング,スーパーマーケット,小学校,パッケージ,家具などがあります.過去の業績では,工業製品が中心ですがそれらに限定するわけではないです.
(2) 必要に応じて多様なアプローチをとります
人間工学,人間中心デザインは学際的な分野ですので,研究テーマに応じて適宜必要なアプローチをとります.研究テーマの性質上,参加者を募っての実験や調査を行うことが多いです.具体例としては,使いやすさ・UXの調査・評価,各種心理測定法,満足度評価,視線・眼球運動特性の計測,生体計測,身体的負担・疲労の評価,デザインの印象・感性の評価,ドライビングシミュレータ,事故分析などです.
